日本製鐵(日本製鉄)vsJFEホールディングス【財務分析・鉄鋼・2022年3月期】

財務分析

財務3表を比較分析するシリーズ。

今回は、鉄鋼業界の国内上位2社である日本製鐵株式会社(日本製鐵(日本製鉄)、NSC、[5401])とJFEホールディングス株式会社(JFE、[5411])を見比べます。

2022年3月期の各社財務諸表(BS,PL,CS)から財務分析を行いました。

【日本製鐵】BSとPL

BSの資金サイドは長期有利子負債の割合が大きい。売上高は大きいが、原価が高く粗利が低いビジネスモデル

BS関連
総資産:8兆7,524億円(前年比+15.6%)
流動比率:174.1% | 固定比率:151.1% | 固定長期適合率:83.1%

PL関連
売上高:6兆8,089億円(前年比+41.0%)
営業利益:8,409億円(同+72.89%)
親会社株主に帰属する当期純利益:6,373億円(同+6,698億円、前年は赤字)

有価証券報告書 | 日本製鐵

【JFEホールディングス】BSとPL

BS関連
総資産:5兆2,879億円(前年比+13.6%)
流動比率:160.2% | 固定比率:145.6% | 固定長期適合率:78.0%

PL関連
売上高:4兆3,651億円(前年比+35.3%)
営業利益:4,002億円(同+51.9%)
親会社株主に帰属する当期純利益:2,881億円(同+3,099億円、前年は赤字)

有価証券報告書 | JFEホールディングス

BSとPLの比較

比率は似ているが、規模は日本製鐵の方がひと回り大きい

有利子負債は長期の割合が大きい、資本に対して売上高が大きい、売上高に対して粗利率が低い(=売上原価が高い)という構造はよく似ている両社。

一方サイズ感で言うと、BSもPLも日本製鐵JFEよりひと回り大きい格好です。

ちなみに鉄の生産量では、日本製鐵が世界で4位、JFEが世界13位につけています(2021年)。

Top Producers
A list of the biggest steel-producing companies in the world in 2022.

ROE分析(デュポンシステム)

利益率で上回る日本製鐵がROEでも5ポイント近く上回る

日本製鐵JFEともに、ROEは日本企業の一つの目安である8%を大幅に上回っています*。

財務レバレッジ及び総資本回転率は、JFEが上回っているものの、当期純利益率が高い日本製鐵にROEでも軍配が上がっています。

*「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」(伊藤レポート)

CS分析

本業収益を投資と借金返済に回す

日本製鐵JFEもコロナ禍での最終赤字から黒字回復。

本業で稼いだ収益を「有形/無形資産の取得」と「借入金の返済」に充てるパターン④のCS*であることが見て取れます。

*キャッシュフロー計算書分析【8パターン】

まとめ

今回は、鉄鋼国内トップの日本製鐵JFEホールディングスの2022年3月期の財務三表をざっくり見比べました。

2社ともコロナ禍での需要後退が影響し最終赤字だった前年度から一転、経済活動の再開に伴う需要回復で黒字復帰を達成しています。

しかしロシアのウクライナ侵攻による鉄鋼の主原料である石炭(原料炭)の価格上昇歴史的な円安が重くのしかかり、2023年3月期の見通しは予断を許さない状況。
日本製鉄、石炭の上流権益投資を検討ー原料価格急騰で安定調達確保(Bloomberg、2022年6月)

このような状況の中で、日本製鐵は”大口顧客”であるトヨタへの値上げ交渉に成功したようです。
車用鋼材最大の値上げ トヨタと日鉄が合意、2~3割程度(日経、2022年9月)

2022年度も需要自体はあるものの、売上原価の大幅上昇と、値上げによる売上増加の押し合いがどういう結果につながるのか、来期の決算も楽しみです。

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(参考文献)
新版 財務3表図解分析法(國貞克則)

(簿記決算書について全体像を把握したい方はこちら↓)

(脚注)
本分析は、2022年3月期の各社有価証券報告書の数値を参照しています。2社ともにIFRSを導入しているため、固定資産は「非流動資産」、固定負債は「非流動負債」、純資産は「資本」から読み取っています。また、売上高は「売上収益」から読み取っています。なお、本分析は財務三表から企業の財政状態、経営成績を大まかに把握するためのものであり、四捨五入の関係で端数が完全一致しない場合があります。

本エントリーの内容は、執筆時点の情報に基づいています。
本分析は、特定の投資等を推奨するものではありません。本ブログを参考にした投資等によるいかなる結果についても、筆者は責任を負うことはできません。投資等は自己責任でお願い致します。

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