経済小説3選【就活生・社会人向け】

本・書籍

今回は初めて経済・金融小説を読む方向けに、初心者でも読みやすい小説を3つご紹介します。

経済小説がどういうものか知らない方に、そのエンターテイメント性を一言で説明するのはとても難しいです。

しかし、面白い体験に出会うことができれば、そのジャンル自体を好きになってもらえると思います。

今回紹介する3つの作品の中に、貴方が経済小説にハマるきっかけになるものがあれば幸いです。

ハゲタカ(真山仁)

【おすすめポイント】

①バブル崩壊以降の日本経済の変遷を疑似体験できる

②時代を超えても変わらない金融業界の基本的な考え方を学べる

③学生、金融業界に興味のある社会人に特におすすめ

ドラマ・映画化で大反響を読んだ真山仁さんのシリーズ。

外資系のバイアウトファンドに所属するファンドマネージャーを主人公としつつも、章ごとに彼の周りの人間が1人称として描かれ、登場人物の心の内を覗きながら読むことができます。

全5作+スピンオフ(2021年9月現在)で構成され、最初の作品はバブル崩壊後の日本を描いています。バブル経済を知っている人はもちろん、生まれた時から「失われた20年」の中にいた、バブルを知らない世代も歴史の勉強として楽しめます。

第4作はリーマン・ショック、第5作は東日本大震災の後を描いているので、日本経済の変遷を、フィクションを通して(フィクションだからこそ)当事者目線で疑似体験できるのも魅力。

マネーロンダリング(橘玲)

【ポイント】

①国をまたいだ節税と脱税の基本的な考え方を学べる

②法律と構造の歪み(「黄金の羽」)の見つけ方を知ることができる

③魅力的な主人公とスリリングな展開

橘玲さんのデビュー作。

橘先生といえば、『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』『残酷な世界で生き延びるたった一つの方法』など、社会構造の歪みを見つけ、ローリスク(時として無リスク)でハイリターンを享受する本の作家さんというイメージの方もいらっしゃると思います。

最近では、『女と男 なぜわかりあえないか』『スピリチュアルズ「わたし」の謎』といった進化論ベースの新しい分野に関する著作も多いです。(この辺りの本の紹介は別途記事にしたい)

しかし!初期の作品の中で、特にこのデビュー作は衝撃的なほど面白いです!

経済小説は読んでいる人のレベルに差があるので、専門用語などの説明が入る点が他の大衆小説と異なりますが、本作はとにかくその解説が面白い。解説だけまとめて本にしてもいいレベルです。

その上、ストーリー自体が面白すぎる!
単に説明が面白いだけで小説にする必要はない、という経済小説も世の中にはありますが、本作はストーリーだけでも痺れるほど面白い。

そして主人公がとにかく魅力的なのもポイントです。

お金に余裕はあるが一生遊んで暮らせるほどではない、

頭は切れるが、社会(あるいは自分自身)に対して冷めている、

そんな彼がリスクを取らず構造の歪みをうまく使って金を稼ぐだけの日々に辟易としていたところ、たった一人の美女が起こした「厄介ごと」に巻き込まれていく

マネーが絡む事件で、お金に関する知識もふんだんに盛り込まれているので、経済小説にくくられてはいますが、スピーディでスリリングなストーリー展開と、その場にいるかのような臨場感が伝わってくる描写力は、時代を超えて楽しめる娯楽小説だと思います。

俺たちバブル入行組(池井戸潤)

【ポイント】

①サラリーマンの悲哀に共感

②主人公の不屈の闘志に元気をもらえる

③謎解きの要素も一緒に楽しめる

今回紹介する3つの作品の中でもっとも新しく、ドラマ化された「半沢直樹」も記憶に新しい『俺たちバブル入行組』

著者の池井戸潤さんは、半沢直樹シリーズ以外にも多くの経済小説を世に送り出し、次から次へとドラマ・映画化される人気作家です(『下町ロケット』『花咲舞が黙ってない』など)

これほどまでに本が売れ、ドラマ映画化される理由の一つは、多くの人に「共感」される要素で物語ができていることでしょう。

半沢直樹は銀行マンですが、サラリーマンとしての苦しみは銀行も事業会社も、大企業も中小企業も、意外と共通部分が多く、主人公と自分を重ね合わせやすいのがエンタメコンテンツとしてバズる要因になったと思われます。

そんな「自分と似た」主人公が、下剋上をしたり体制をぶち壊したりするのではなく、あくまで組織の論理や社会の理不尽さの中で己を貫く姿を見て、「自分もまだまだ頑張れる」、「明日から一つ一つ目の前の仕事を丁寧にやろう」と思えた人も多いのではないでしょうか(ドラマ作品が日曜21時のことが多かったのも、月曜から出社する層を狙っていたのかもしれません)

ストーリーとしては、銀行業務を通して普通なら開けない「パンドラの箱」を開けてしまい、問題の真相を突き止める「謎解き型」になっています。そのため、最後まで飽きることなく、というより続きが気になって一気読みしたくなることを、経済エンタメ研究所が保証いたします!

また、ドラマを先に見た人も活字ならでは面白さがありますし、シリーズの中ではドラマ化されていないストーリーもありますのでそちらもチェックしてみください


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